20年間買い続けたロト6をやめて、選挙に行くのもやめた父。

父が唯一の趣味だったロト6をやめた。
「20年毎週買ったけど当たらへんからやめた」と母に話しているのを部屋で聞いていた。声がクソでかいので聞こえてくるのだ。

思い返せば小学生の頃は父と母、兄と私でパチンコ屋にもよく行った。当時はまだ子供も店に入ることができたから、お兄ちゃんと落ちているパチンコ玉を拾い集めて普通に打っていた。時代・・・。
私の記憶では、私が高校生くらいの頃までは父はパチンコに行っていたと思う。やめたきっかけも明確に覚えていて、ある日帰ってくるなり、パチンコしている間に車上荒らしに遭って、車に置いていた会社のお金を取られた、と言って大変そうだったことがあった。その記憶を思い出すたびに、車上荒らしというのは嘘やったんやろうな、と思う。実際警察に届けを出していた記憶もないし。きっとパチンコですってんてんになって使い込んだに違いない。
小さい頃からパチンコで勝てばいつもおもちゃを交換してきてくれたし、負けてもお菓子くらいは持って帰ってきてくれたし、小さい子供の頃の記憶だから正しいかは不明だけれど、父のお小遣いの範囲内でやっていたと思うから、ギャンブル狂いというほどではなかったと思うけれど、結局その事件をきっかけにパッタリとパチンコはやめたようだ。

取って代わるようにして買い始めたのが「ロト6」
父はいつも同じ番号を買っていて、家族全員の誕生日の数字で買っていた。うちに世界一可愛い犬、アタちゃんがまだいた頃は、歩いて40分ほどの道のりをアタちゃんの散歩がてら連れて行って、宝くじ売り場のおばちゃんの人気者になっていたようだった(アタちゃんが)。
私も何度か付いて行ったことがあって、チワポメのちっさい体のアタちゃんは40分も歩けないので、途中から父がアタちゃんを抱っこしていくその散歩は結構好きだった。

ロト6をやめたという話し声が聞こえてきたその日は日曜日、衆議院選挙の投票日だった。
私は兵庫県に住民票を移したばかりで、こっちの選挙区ではなく、前の選挙区で期日前投票を何らかの手続きの上する、という方法を面倒くさがって投票しなかった。覚えている限り、これまで市長選に行かなかったことは確かあったけれど、衆議院参議院選を投票しなかったのは初めてだったと思う。
そしてその日、父も選挙に行かなかった。

父は毎回ちゃんと選挙に行っている印象があったので、なんだかショックだった。抗がん剤治療で足が浮腫んでいるし、昨年の腰の骨折の影響で腰も痛い、選挙会場まで行くには体がしんどすぎたのだろうと理解はできるけれど、多分父はもう希望を抱けなくなっているのだろうと思った。
ロト6って多分数百円で買えるものなのだろうけど、その数百円でみんな当たったら何しようって夢を見ているんだと思うと、そんなに悪いものではないと私は思っていた。
父も、アタちゃんが生きていた頃は、ロト6が当たったらキャンピングカーを買って、アタちゃんと一緒に日本一周したいと言っていた。
そういう希望とかはもう、日々の生活の中ですり減って老いて病気にもなってどんどん消えて無くなっていったんだと思う。
選挙もきっと、投票しても良くなるはずがないと思ったに違いない。
政治が生活を良くしてくれるわけがない、きっとそう思っているのだろう・・・。

母はというと、昔から選挙にちゃんと行っている印象がない。今回もやはり、父に「選挙行くか?」と聞かれて「行かへん」と即答していた。
父も母もヨボヨボの病気満載高齢者だから仕方ないと思う。

私はというと、今日でもう何日家の外に出ていないのだろうか。2週間は出ていない。すっかり引きこもりになってしまった。
11月4日の失業認定の日までに、あと1回ハローワークに行かなければ失業手当がもらえなくなってしまう。そもそも引きこもりで働く意欲ゼロだから、失業手当もらう資格損失してるけど、そのお金で月々の借金返済に充てなければ、と頑なに思っているから、何としても明日こそ、ハローワークに行かなければならない。

住民票を移してすぐ、手続きのためにハローワークに行ったのだけれど、三市合同の職業安定所に行かなければならなく、めちゃくちゃ遠かった。歩いて30分かけて最寄りの駅に行き、電車を2線乗り継いで、そこからバスに乗り換える。帰りはバスに乗らずに歩いてみたが40分くらい歩くことになって、これを毎月繰り返すことを想像しただけでうんざりした。帰りにせめてお茶でもして帰ろう、と思ったもののいい喫茶店情報もわからず、当てずっぽうにチェーン店に入って余計に気分が落ち込んで、そそくさと帰ったのだった。
横浜の職安は自転車で行けたし、海沿いの気持ちのいい場所にあってよかったな・・・とか、そこから横浜での5年間の暮らしに脳みそが持っていかれてしまい、どうして大嫌いな実家に今いるのだろう・・・と、とにかくクソ暗い心境になってしまった。

実家に帰ってから気になっているのは、とにかく父がめちゃくちゃよく転ぶ。
腰の圧迫骨折やってるのに、思いっきり尻もちつく転び方もする。
一日一回は転んでいる。
こんなん、良くなるはずがない。

世の中のお年寄りはどうやって暮らしているのだろう。こうやって毎日転びまくっているのだろうか。